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木材による建設業界の変革

通常の季節的な景気後退に反し、2020年末には木材価格が値上がりしました。気候変動と木材価格の間にはどのような関係があるのでしょうか。こうした市場変化は将来の業界にどのような影響を及ぼすのでしょうか。

従来、冬季は屋外での建設作業が困難となるため、木材の売上が低下します。しかし、世界的な気温上昇に伴い、林業の季節的な景気後退は過去のものとなりつつあります。2020年の最後の数か月間は、建設に適した暖かい秋でした。その結果、季節外れの冬に木材価格が高騰したのです。米国では11月だけで価格が27%上昇しました。2021年も住宅建設の好調が見込まれるため、サプライヤーは木材を買いだめしています。

まだある程度は季節的な景気後退が生じると思われますが、業界の専門家の間では、冬季の気象条件が本当に厳しくなるまで建設業者は作業を続けるとの見方が一般的です。木材業界はこのような季節外れの需要に備えていなかったため、在庫の枯渇と価格急騰は当然の結果と言えます。

業界への影響

この現象は地域的レベルでも、地球的レベルでも発生しています。持続可能な林業の推進団体、Conforのチーフエグゼクティブを務めるStuart Goodall氏は、次のように、地域的な影響に注目しています。

「英国では、冬の寒さは和らぐものの湿度が高くなると予測され、伐採や屋外建設作業が困難になる可能性があります。また、フィンランドやスウェーデンのような国でも、暖冬が冬季伐採の妨げになります。道路が氷で固くなり湖が氷結することで、島の森林へのアクセスが可能となるからです。英国では長期にわたって気温が0度を下回ることはないため、寒気による建設作業への制約は北欧や北米ほど厳しくありません。とは言え、寒さの厳しい時期に一時的に作業が止まったり進捗が遅れることはあり得ます。冬季の主な影響は、庭仕事や農作業、たとえばフェンス、倉庫、デッキなどの作業の減少です。」

また、気温上昇の影響として、天候に関連した供給問題に備えるために製材工場が保管容量の拡大に投資するとGoodall氏は考えています。

環境に配慮してより良い選択を

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美しさと重量、そして環境面での利点から、木を使った建築に関心を持つ建築家が増えています。

建設シーズンが長くなったことはさておき、木材は環境への貢献が評価され、建設業界でスチールやコンクリートに匹敵する市場へと成長してきました。UPM Timberの営業および販売開発マネージャー、Juha Santaholmaは、環境にやさしく、カーボンフットプリントが小さいことから、木材需要は世界で急速に拡がり、評価が高まりつつあると言います。

「まず、木材は100%無垢な天然物です。次に、木材製品は全ライフサイクルを通じて二酸化炭素を吸収し、炭素として固定し続けます。さらに、資源効率の良い木材を利用することで、化石原料の使用が減ります。また、木造建築は、荷重負担能力、断熱性、吸音性、防湿性、耐用年数の面でも優れています。」とSantaholmaは付け加えます。

Goodall氏は、一部の建築家の間で木材利用に対する関心の高まりが見られると指摘しています。木材は炭素面で有利であり、さらにコンクリートよりも重量が軽く、美観的にも優れているというメリットがあるからです。しかし、現在はまだ、建設会社やディベロッパーの関心は限定的で、建設活動全体に占める割合は比較的小さいとGoodall氏は見ています。

とは言え、これは注目すべき傾向と言えます。2015年に米国では、CLT(クロスラミネーテッドティンバー)パネルで建設された大きな建物は10棟しかありませんでした。業界団体であるForest Business Networkによる2019年のレポートには、木材を使用した建設プロジェクトの数は毎年倍増し、2034年までに24,000件以上に達する可能性があると記載されています。

持続可能な森林管理が重要

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持続可能な森林管理は、新しい建物に使用される木材が責任ある方法で調達されるようにするために役立ちます。

 

建設業界における木材利用の拡大は製材国の経済を押し上げ、建設業界の環境への貢献を改善する可能性があります。ただし、適切に管理されなければ、深刻な環境問題を引き起こすことにもつながります。たとえばケニヤでは、需要増が植林活動を脅かす可能性について警笛が鳴らされています。2019年、国連開発計画は、木材需要の増大(主に西欧市場)がカンボジアの急速な森林破壊の主要原因の1つであると警告しました。

世界各地で懸念が生じていますが、パニックになるのは時期尚早というのがGoodall氏の考えです。

「こうした需要増が森林破壊問題につながることはないと思います。その理由は3つあります。第1に、需要増が比較的小規模であること。第2に、使用される木材が主に軟材であり十分に供給可能であること。第3は、必ず認証済み(PEFCまたはFSC)の木材を指定して調達すれば負の環境影響を簡単に回避できることです。」とGoodall氏は説明します。

持続可能性に取り組み、PEFCやFSCの要件に準拠する製材会社が増えています。Santaholmaによると、UPMは自社の製材工場で使用する原材料を、持続可能な管理が行われている森林からのみ調達しています。UPMはさらに、森林の生育のために具体的な活動も行っています。

「当社は毎年5,000万本の木を植林しています。これは1分あたり100本に相当します。伐採される木1本あたり約4本の木が植林されていることになります。」とSantaholmaは述べます。

業界は、サプライチェーンと森林管理の観点から考え、持続可能な方法でこの需要増を満たす必要があります。

「持続可能な管理が行われている森林では質の高い木材が増えます。そのため、年間を通じて円滑に事業を行うためには、切株から顧客までサプライチェーンのプロセスを常に進化させる必要があります。」とSantaholmaは述べます。

Santaholmaはさらに、将来的にはデジタル化が大きな役割を果たすようになると指摘し、次のように述べています。

「当社のプロセスの大部分は既存のITツールやソリューションから得た知見に基づいています。将来は、コンスタントに開発を継続し、進化のスピードを維持することが何よりも重要になります。デジタル化によって、材木自体や生産プロセス、販売開発などについて、伐採現場から詳細な情報を得ることができるようになります。当社は今後、より俊敏性の高いデジタルシステムをチェーン全体に展開し、最終的には木材を使用するお客様のところまで拡張することを目指しています。」

気候変動を緩和する新たな手法の模索において、業界は重要な役割を担っています。木材の炭素固定効果や木造建築がもたらすメリットについての意識を高めることは業界の責任と言えます。

「私たちは業界として、現在化石原料で製造されている日常品に木材および木質系材料を使用する新たな手法を引き続き模索していかなければなりません。」とSantaholmaは締めくくります。

 

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文:Maria Stambler