UPM Timber、2020年戦略の核となるのは信頼とコミュニケーション

UPM Timberは、ストライキと新型コロナウイルスの打撃を最小限に抑えながらその危機を乗り切っています。どのようにしてこれを達成したのか、また製材業界の今後の方向性はどのようなものかを聞くため、販売サプライチェーンディレクターのMikko Hyvärinenに話を聞きました。

「ストライキと新型コロナウイルスは多くの企業に打撃を与えましたが、UPM Timberがこれを最小限のダメージで乗り切ることができたのを、うれしく思います」と、販売サプライチェーン管理チームのディレクター、Mikko Hyvärinenは最近同社のホームページに掲載された記事の中で語っています。

不安と緊張を信頼で乗り越える

「12月にフィンランドの労働組合のストライキがあり、その後また1月から2月にかけてコロナショックと同時期にストライキがありました。今後何が起こるのか、どう対処できるのかと、不安と緊張を少なからず感じたのを覚えています」とMikko Hyvärinenは言います。彼は2001年からUPMで働いていますが、キャリアの中で、これほど大きな市場環境の危機に直面したのは、初めてのことでした。

木材ビジネスは予測不能なところがあります。一方で、UPMの製材工場は通常、フル稼働で生産を行っているため、ストライキに備えるのは難しいという事情があります。「万が一に備えて在庫を増やす、ということができないのです。しかし私たちは、お客様とのすでにある契約を尊重しました。これはほかのどの競合他社もやらなかったことです。私たちはお客様に対し、当社が戦略的なパートナーであり信頼できる相手であることを示しました。当社が困難な状況にあるお客様を信頼するのと同様に」と彼は振り返ります。

UPM Timberの取引の約80 %は四半期ベースで行われており、販売チームの多大な努力の結果、最終的には2020年の第1四半期と第2四半期には、満足いくボリュームの製材品を納品することができました。2012年から販売サプライチェーン部門のディレクターを務めているHyvärinenは、今回の危機の間、顧客との緊密な連携とオープンな話し合いが不可欠だったと付け加えます。

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写真:新型コロナウイルスの影響は、木材を含む多くの産業に及んでいます。

2020年は予想をはるかに上回る結果に

信頼の土台と、一対一のパーソナルな関係性の基礎は何年も前から確立されていましたが、新型コロナウイルスの流行後は、これが非常に貴重なものであることが証明されました。「私たちはお客様と直接会うのではなく、電話、メール、MS Teamsで連絡を取り合うことにしました。皆さん私たちが出張できないことを残念がってはいましたが、私たちはもともと素晴らしい関係を築いていましたので、ビジネスは予想以上にうまくいきました」とHyvärinenは振り返ります。

「今回の危機以前から、私たちはお客様に対して、常に状況をオープンにしてきました」と語るHyvärinenは、これは同社の強力な協力関係の一部であると説明しています。「私たちは、お客様の今年および今後の計画に、耳を傾けています。お客様がどのようにビジネスを発展させ、改善しようとしているかをお聞きし、その上で当社のサービスでお客様の発展をサポートしています」

「お客様は、今後起こり得る新型コロナの第2波がどんな影響をもたらすかについて懸念を抱いており、今年は将来を見据えたビジネス展開が少々難しいですね」と、Hyvärinenは語ります。「私たちは一日一日、一週間一週間を大切にしています。状況を把握し、何か悪いことが起こった場合には、常にプランBやプランCを用意しています」

「困難には見舞われましたが、2020年は刺激的な年になりました。ビジネスを継続させるために、これまでと違う方法を見つけることを余儀なくされたのです。たとえネガティブなものであろうと、私たちはポジティブなものへの転換を試みました。そうすれば将来的にはきっと何かの形で返ってきます」Hyvärinenはこう信じています。

競争相手に差をつける

木材業界では、販売と購入に関して昔ながらの手法でビジネスが行われてきました。しかし、若い世代の力で着実に変わりつつあると、Hyvärinenは見ています。「若い世代は非常に優れたITスキルを持っており、当社は常に成長を続けています。最新の情報をより簡単にいつでも入手できるようになり、コミュニケーションツールを用いてより迅速な意思決定とより多くのビジネスが、オンラインで行われるようになっていくでしょう」Hyvärinenは予測しています。

UPM Timberはまた、持続可能性とイノベーションを引き続き推進する展望を描いており、これらを戦略の中核に据えています。環境問題は顧客から寄せられる最も重要な要求の1つであると、Hyvärinenは語ります。そして、同社の販売チームは世界中、特に中国において環境に配慮した製品の需要が高まっていることを喜んでいる、と付け加えます。

需要の増加に伴い、製材市場には新たな競合が参入してきており、特に勢いがあるのがロシアです。この状況について、Hyvärinenは次のように見ています。「ここ数年、ロシアの製材工場はますます強力な競争相手になっています。彼らは丸太価格に大きな優位性があるのに加え、工場に巨額の資金を投入して技術の質を高め、納品の信頼性を上げています」

これに対しUPM Timberは競争優位を維持するため、長期にわたり築いてきた顧客との協業関係を活用し数量的にも品質的にも顧客のニーズを叶えていると、Hyvärinenは言います。「私たちはお客様を”個”として見ています。これは多くの競合他社にはないことです。そこにしっかり力を注げば、競合との差を維持するだけでなく、さらに引き離すことも可能だと思います」と、Hyvärinenは締めくくりました。

 

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文:Asa Butcher

写真:UPM Timber

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