森林破壊フリー製品に関する欧州連合規則 (以下、「EUDR」)(Regulation(EU)2023/1115) は、EUが世界規模での森林破壊および森林劣化と闘うための継続的な取り組みにおいて、重要な節目となります。これはEU木材規則に代わる規則であり、デューディリジェンスの必須要件をより広範な商品に適用するものです。
EUDR:EUで流通する木材製品を森林破壊フリー製品へ
EUDRの下では、牛、カカオ、コーヒー、パーム油、ゴム、大豆、木材などの関連商品、または関連商品を含む、もしくは関連商品を使用して製造された派生製品をEU市場に出回らせること、またはEUから輸出することは、以下の場合を除き禁止されます:
それらが森林伐採や森林劣化に
寄与しない場合
それらが生産国の関連法規に従って
生産されている場合
デューディリジェンス・ステー
トメント(DDS)に記載されていること
UPM TimberのEUDR準拠への取り組み
UPMは、2025年12月30日までに法令遵守を徹底できるよう万全の準備を整えている段階です。 EUDRの目的は、原材料としての森林の利用がバリューチェーン全体を通じて透明であること、そして森林が責任ある方法で利用されることを保証することです。UPMは持続可能な林業慣行に深くコミットしており、EUDRの全体目標を支持しています。
またEUDRは、企業に対して、デューディリジェンスやリスク評価、バリューチェーンにおける情報の流れの確保などを要件として課しています。EUDRに対応するため、UPM Timberは専任プロジェクトチームを編成し、調達から顧客対応にいたるまでの業務を包括的に評価しています。これにより、欧州委員会による最終指示の提供を前提として、すべての要件を満たし、かつ必要なデータを必要な期間内に顧客に提供できるように取り組んでいます。
UPM TimberによるEUDRの遵守
下の概略図は、UPM TimberがどのようにEUDRを遵守しているかを簡単に示しています。木材やその他の関連商品のサプライヤーが、最初のデューデリジェンス・ステートメント (以下、「DDS」) を地理的位置情報と共にTRACESシステムに提出し、そこから関連する参照番号(REF)を取得します。UPM Timberは、原材料に関連するすべての参照番号を受け取ってからDDS内に記載します。DDSの提出後、UPM Timberは参照番号を受け取り、商品を上市するときに番号を顧客に転送します。
- EU TRACES = EU 情報 システム。事業者または中小企業以外の取引業者 はデューディリジェンス ステートメント (DDS) を提出する必要があり、ここで 対応するREF 番号が付与されます。
- REF = 参照番号 および検証 番号。EU TRACESシステムは、対応する参照番号を付与し、この番号はサプライチェーン全体で共有されます。
このプロセスでは、サプライヤーからのデューディリジェンス・ステートメントの検証、およびサプライヤーが適切なデューディリジェンスシステムを導入しているか否かも検証します。これにより、サプライチェーン全体のトレーサビリティとコンプライアンスを徹底します。
EUDRに関するよくある質問
ご注意ください:ここに掲載するQ&Aはあくまでも抜粋であり、現時点における欧州森林破壊防止規則についてのUPMの理解および解釈を示したものに過ぎません。これは法的なアドバイスでも拘束力のあるポジションステートメントでもなく、また、同規則の要件を完全に網羅したものでもありません。同規則が自社の事業活動にどのような影響を及ぼすかを詳細に把握したい場合は、EUに直接問い合わせるか、第三者の専門家にガイダンスを求めることをお勧めします。
はい。納品書はお客様にEUDR参照番号が付与される最初の段階で発行されます。
いいえ。現段階ではありません。関係当局がどのようにサプライチェーンを監査するかという点で、国によってリスクのレベルに違いがありますが、私たちが計画している規制の実施方法を変更するような簡略化が認められる予定はなさそうです。
いいえ。お客様は納品時にはEUDR参照番号だけを受け取ることになります。
基本的に、中小企業以外の事業者のバリューチェーン内にある中小企業は、中小企業以外の事業者に課されたEUDRの義務に従い、それらの顧客のデューディリジェンス義務の履行をサポートする必要があります。中小企業は、サプライチェーンでさらに前に位置する事業者から受け取った参照番号を次の事業者に転送することもできると思われます。
第一に、PEFCとFSCは任意の森林認証プログラムですが、EUDRは運用が義務付けられているEUの規則です。第二に、主な違いはEUDRの「リアルタイム」な性質です。デューディリジェンス情報は、技術的に可能な限りに、特定の地理的位置と紐づける必要があります。EUDRにおいては、参照番号が、TRACESシステムを通じて、特定の木材バッチに紐づいた特定の場所に関する情報にリンクしています。一方、PEFCとFSC用の既存のデューディリジェンスシステムにおいては、顧客に納品される木材の各バッチに参照番号を含める必要がありません。
当社はEUDRに準拠していく方針です。EUDRは同規則に準拠しない木材をEU市場へ上市することを禁じています。現時点では、残されている課題や技術上の問題に対処中ですが、当社はEUDRの要件をすべて満たすべく作業を進めています。
いいえ。現段階ではパッケージに印字する予定はありません。製品を他の情報に紐づけるには、納品書や請求書などを介してこれを行うのが最善の方法であると思われます。
要件は、EUDRの付属書IIに記載されています。
データの送受信は、印刷、またはメールに添付する形で、PDF、DOCS、XML、CSVなど、複数のフォーマットに対応する予定です。参照番号は、納品書、請求書、梱包明細書に記載されます。お客様に役立つと思われる情報は、2025年中にカスタマーポータルのMyUPMTimberに追加される予定です。
さまざまな方法が考えられますが、効率的かつ効果的な情報提供の方法を最終的に決定する場合、ご提示いただいたご意見も含め、お客様からのフィードバックを参考にいたします。
法令遵守にかかる費用は増えますが、木材に「EUDR割増料金」を直接課す予定はありません。これは、EU市場へ木材を上市するにあたって、業界全体で負担すべきコストです。
義務が生じる可能性はあります。これは、貴社が木材をEUへ輸出、またはEUから輸入しているかどうか、あるいは貴社の製品 (または貴社の顧客の製品) が最終的にEU市場に上市されるかどうかによって決まります。貴社がEUとの輸出入を行っておらず、貴社にとってのすべての市場がEU圏外にある場合、EUDR関連の義務は生じません。
バッチとは、出荷/納品の単位を指します。そのため、生産日と原材料が同一でも、別のバッチになる場合があります。
当社では、製材工場に到着した木材を追跡する方法を開発しました。1回の納入に含まれる丸太の等級はさまざまです。そのため、個々のバッチの最終製品には、複数回にわたって納入された丸太が使われている場合があります。保管場所の状況に応じて、丸太は一定の期間内に製材しなければなりません。したがって、特定の木材バッチの原材料の調達元を識別することは可能です。
パッケージラベルの番号で識別できます。各パッケージの参照番号は納品書に記載されています。
現在、製材に使用される原木はすべて、フィンランドから調達しています。供給はUPM森林部門が行っています。
伐採時期 (EUDR第9条「情報要件」の「生産時期」要件に関連) は、製材企業が自社のデューディリジェンスプロセスを通じて記録します。その結果として発行されるEUDR番号は、UPM Timberを含む次の事業者に渡されます。サプライチェーンの上流で発行されたEUDR参照番号は、原料供給者から下流の事業者に提供される証拠として保管されます。
それは製品によります。最初の木材製品がEU圏内で製造され、EU圏外へ出た後、再加工品として再びEU圏内に流入した場合は、比較的簡単です(ただし、EU圏外の木材やその他の対象商品が加えられていない場合に限る)。その場合、製品を顧客に販売する際に必要となるEUDR参照番号は、UPM Timberが提供します。
EU圏外から調達された木材や、EUDRの対象になるその他の商品が最終製品に含まれている場合は、関連する地理的位置情報をデューディリジェンス・ステートメントに追加する必要があり、これは下流の生産者がEUのTRACESシステムに提出する必要があります。
EUDRの対象外の作物を栽培する場合は、合法的に開墾できます。しかし、商品としての木材はEUDRの対象であるため、開墾によって伐採された木材は市場には出せません。
EUDRが自社の事業活動にどのような影響を及ぼすかを詳細に把握したい場合は、EUに直接問い合わせるか、第三者にガイダンスを求めることをお勧めします。