60周年を迎えたカウカス製材工場

Local news 11.9.2019 10:00 EEST

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ラッペーンランタのカウカス製材工場は、60年間、現在と同じ場所で操業し、拡張してきました。この場所が60年前に製材工場として選ばれた理由は今日でも有効であり、将来的にも製材工場の操業を保証するものです。この製材工場は長年にわたって発展を続けてきましたが、伝統的な産業が存続できたのは当然のことだと決めつけることはできません。それでも、この製材工場の将来の見通しは明るく、これまでしてきたことに大きな誇りを持って60周年を迎えます。

 

1892年の創業当時の状況

UPMのカウカス製材工場は1892年、元々はKanavansuu地方のVarkaansaariに設立されました。この製材工場は、ノルウェー人のSalvese兄弟による経営で成功を収めていましたが、1916年にカウカスに事業を売却しました。その後、たびたび繰り返される戦争により、資産の管理に関する懸念が高まり、その結果、多くの海外起業家がフィンランドを去りました。

そして、取引の結果、カウカスは4つの製材工場とLauritsala Manorに加え、約7万ヘクタールの森林を手に入れました。カウカスは大規模な森林の所有者となり、その結果、原材料を巡る過酷な競争が減りました。この製材工場は、カウカスがフィンランドで初の試みとして挽き材のキルン乾燥を開始した1959年まで、Varkaansaariで操業を続けました。この時点で、製材工場の操業はKanavansuu地区から現在のカウカス製材工場の場所に移されました。そこには、林業のすべての操業を1か所の場所に集中させたいという願望がありました。当時、工場の周辺には拡張するための空き地がたくさんありました。今日、工場の敷地面積は300ヘクタールとなり、製材工場はその3分の1近くを占めています。

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1961年にその地域で撮影された写真。

 

サイマー湖の重要性の低下

製材工場に搬入される原材料木材はすべて利用されます。原材料木材の約半分は最終的に製材され、約30%は木材チップとしてパルプ工場に運ばれ、残りの20%はおがくずや樹皮として再利用されます。木材チップは、パルプ工場では原料として、Kauvoでは再生可能エネルギーの生産に使用されます。すべての樹皮はバイオエネルギーのために焼却されます。そして、製材工場は、パルプ工場とKauvoバイオ燃料発電所から必要なエネルギーと乾燥蒸気を得ます。

「60年前、製材工場を現在の場所に移転した大きな要因は、すべての操業を1つの場所に集中することでした。製材工場全体のさまざまな部門で生じる相乗効果は、今日でも重要です」と、UPMカウカス製材工場のディレクター、Antti Waajakoskiは強調します。

ところが、サイマー湖の水系とサイマー運河からカウカス製材工場への水路の重要性は低下しました。現在、サイマー湖と運河を経由して輸送される木材のほとんどはパルプ工場向けです。1980年代までは、原木の3分の1が浮いた状態でパルプ工場に流され、その後、水中からまっすぐ引き上げられて皮剥き工場に運ばれました。

製材工場での新しい原木ソーティング方法により、1994年、水上輸送は陸送と貯蔵に取って代わられました。水路を利用した原木のフローティングは完全に停止し、丸太の保管場所として、水路の端が人工的に埋め立てられました。3~5日間の操業で使用される丸太は、製材工場の皮剥き機の隣に保管されます。

 

カウカスUPM最大の製材工場

UPMは、フィンランド国内4か所に製材工場を構えています。Waajakoskiによると、4つの製材工場のすべてが必要なのは、パルプ材をパルプ生産のためだけに森林から調達することはできないためで、丸太として使用する必要もあります。

「集中的な操業は利益になります。UPMのパルプ生産量が増えると、製材工場が拡張されます」と、Waajakoskiは説明します。

カウカスはUPM最大の製材工場で、UPM全体の年間合計生産量150万立方メートルのうち、3分の1を生産しています。カウカスは大規模な製材工場ですが、全世界を市場としているため、競合する製材工場が世界中にあります。Waajakoskiによると、この分野は断片化されているため、操業は困難を伴います。

カウカス製材工場は、これまで発展し続けてきており、長年にわたって行われてきた投資の数々には目を見張るものがあります。また、市場でも高い評価を得ています。Waajakoskiによると、製材工場の大量の製品と一貫した品質は、お客様にとって大きな意味があります。製材工場の規模はフィンランド国内の基準としては大きい方ですが、お客様に柔軟に対応することを目指しており、多くのお客様と35~40年にもわたる関係を築いています。

「お客様との良好な関係とお客様からの信頼により、不況にあってさえ、安定した取引を持続できました」と、カウカスの従業員は満足げに説明します。

 

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カウカス製材工場の未来は明るく有望であると、UPMカウカス製材工場のディレクター、Antti Waajakoskiは予見しています。

 

90%に達した製品の輸出

カウカスで生産された製品の90%は、主に建具、家具、建設業界で使用するために輸出されています。特に中国市場向けの輸出により、近年、生産量の安定化が図られています。一方で、2000年代初頭から、カウカス製材工場の最大の輸出先が日本であるという状況が続いています。その日本では、木材の強度が高く、耐震性に優れているという理由で、北欧産木材が住宅建築に多用されています。

フィンランド国内で木造建築が増加していることをうけ、製材業もその前途は有望です。高層建築の建設における木材の使用についての法的な障壁は取り除かれました。公共の建造物でさえ、木造建築の建設が増加しています。

 

ラッペーンランタ地域社会における重要な役割

UPMキュンメネとカウカス製材工場は、ラッペーンランタ市の重要な役割を担っています。複合生産施設は1,000人分の雇用を創出し、そのうち130人分は製材工場のものです。さらに、UPMの請負業者に雇用されている約400人の従業員が工場で働いています。UPMがこの地域で直接・間接的に雇用している人数は、合計約2,000人になります。また、ラッペーンランタ市と近隣の自治体に、年間3,300万ユーロの税金を納付しています。

地元の人々との交流やコラボレーションは、さまざまなコミュニティ、企業、教育機関を通じて行われています。カウカスでは、Saimaa Vocational College Sampoをはじめとするさまざまな組織と協力して、トレーニングプログラムを実施しています。プログラムで取り上げられる学習の大半は、製材工場で実際に役立つものです。

このプログラムは、林業を働く場として高く評価するカウカスの住民から歓迎されており、多くの人がトレーニングの受講を希望しています。カウカスでは働き手が必要なのは言うまでもありません。現在は世代交代の途上にあり、最近では勤続年数の長い従業員の退職や退職予定者が増えています。

カウカスは、今日にあっても成功を物語る素晴らしい一例であると言えます。Waajakoskiによると、カウカス製材工場には明るい未来が待っています。カウカス製材工場は、今後も長年にわたり、この同じ場所で操業を続けていくことでしょう。

 

記事:Aija Käkelä-Laine

写真:Annika Vesterinen